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<第2回>大卒就職のイマ[2]

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 4月。街に新しいスーツに身を包んだ若者たちがあふれる季節となりました。
 新入社員たちの希望に満ち溢れた笑顔が目に留まる一方で、緊張の面持ちでスマートフォンとにらめっこする、就職活動生と思しき姿も多く見かけます。

 2013年春卒業予定学生の面接選考がピークとなり、中には4月1日以降毎日どこかの面接を受けているという猛者もいるようです。
 学生にしてみれば面接選考は、これまでの就職活動の集大成とも言うべき重要な過程であり、俄然力も入ることでしょう。

 ではイマの学生は、一体どれくらいの面接選考を受けているのでしょうか。
 またそもそも、そこに至るまでにはどんな道のりを経ているのでしょうか。
 今回は、リクルート『就職白書2012』から、学生の就職活動プロセスについて、詳しく見てまいりましょう。

 

●学生の平均エントリー数は58.3社で、ハガキ時代と同水準!?

 イマの大学生の就職活動は、「1:情報収集」→「2:エントリー(※a)」→「3:説明会参加」→「4:エントリーシート(※b)の提出」→「5:面接選考」→「6:内定(内々定)」というステップを踏んでいくのが標準的なスタイルです。

(※a)エントリーとは、学生が興味のある企業に対して、「私は御社に興味があります」と意思表示をする行為。
多くは「リクナビ」のような就職サイトや、各企業のホームページを通じて行われる。
(※b)学生が企業に応募する際に記述して提出する書類。設問は各社によって異なるが、「自己PR」と「志望動機」が問われることが多い。

 そこで、『就職白書2012』では、プロセス毎の実施状況について学生の皆さんに尋ねてみました。

就職活動プロセス毎の実施状況

 これを見ると、就職活動生は58.3社にエントリーし、20.5社の個別企業説明会に参加、22.4社へのエントリーシート提出を経て、12.2社の面接選考を受けているという概観です。

 よくテレビのニュースなどで「100社受けたが決まらない」と訴える学生の姿が報じられているので、エントリーの平均が58.3社というのは少ない印象があるかも知れません。
 しかしこれはあくまで平均であり、かなり多くのエントリーを行う学生と、ほんの数件しかエントリーをしない学生とに二極化しているというのが実態です。
 調査方法等が当時とは異なっていますので単純比較はできませんが、この平均エントリー数は、90年代半ばの、ハガキによる平均資料請求数とほぼ同じ水準です。

 一方でその頃と比較して量が拡大していると実感するプロセスがあります。

 それは「学生一人あたりの説明会参加社数」です。

 企業の「多くの母集団の中からよりよい人を選抜したい」という志向は強く、各社による説明会は大規模化・多回数化の傾向にありますが、それが1つの要因でしょう。

 また今の学生は、個別企業以外の主催者による説明会への参加にも積極的です。
 特にこの数年は、大学で開催される合同説明会も拡大傾向で、こうしたものを加算すると、学生はかなり多くの説明会に参加しているということになります。

 

●就職プロセス毎の開始時期ピークは、いずれも卒業前年次

 ではそれらの活動を、学生はいつから始めているのでしょうか。

 就職活動プロセス毎の開始時期を見ると、開始した学生が最も多い時期は「1:情報収集」「2:エントリー」は卒業前年次の10月で、それぞれ29.6%、43.4%であり、「3:説明会参加」は同12月で22.0%、「4:エントリーシートの提出」は同1月で25.3%、「5:面接選考」は同2月で20.5%となりました。

就職活動プロセスの開始時期の割合

 こうしたスケジュールは、ちょうど今動いている2013年卒予定者では大きく変化しています。日本経団連の「採用選考に関する倫理憲章」が昨年改定され、大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等向けの採用広報活動は、卒業・修了学年前年の12月1日以降に開始するとされたためです。

 若者の力を最大限に伸ばすために、学習環境の確保が極めて重要であることは論を俟たないでしょう。そのために企業の採用活動開始時期が見直されたことに対しても、一定の評価がなされているようです。

 しかし開始が遅くなった分だけ終了も遅くなったり、かえって長引いたりしては本末転倒ではないかという指摘もなされています。

 就職活動を短期間で終えられる人とそうでない人との違いは、一体どこにあるのでしょうか。
 その1つのヒントが「企業を選ぶときにもっとも重視した条件」に隠されています。

 次回は、この「決まる人と決まらない人の違い」について、詳しく見ていきたいと思います。
 

(2012/4/11)

株式会社リクルート『リクナビ』編集長
岡崎 仁美
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